CBN製品の健全な市場環境と利用者の安全確保に向けた共同要望書

 
目次(▶︎ をクリックして開く)

1. 基本情報

 

2. 要望について

背景・目的

私たちは、それぞれカンナビノイドの医療利用を必要とする患者とその家族の支援、カンナビノイド医療に関する科学的情報の普及啓発、そしてカンナビノイドに関する臨床研究と学術的発展を目的として活動しております。
CBNはCBDに次ぐカンナビノイドとして日本国内で雑貨や食品として流通しています。我々が2024年に実施した疫学調査では、CBNは健康管理上有用であり、多くのユーザーの生活の質向上に寄与していること、また調査時点においては重篤な健康被害は引き起こされていないことが示されました。
しかし一方で、CBN含有食品についてはその品質、表示、販売方法には大きなばらつきが見られ、用法の如何においては消費者の安全や健康を脅かす可能性が想定されます。昨今のTHCH等を含有する製品による健康被害や報道は、カンナビノイド全体に対する社会的な不安や誤解を招きました。CBNに関しても消費者が安全に、かつ安心して継続的に利用できる環境が整備されることは、公衆衛生上の喫緊の課題です。私たちは、事業者の皆様が社会的責任を自覚し、自主的なコンプライアンスの制定を通じて健全な市場環境を構築されることを強く望みます。
つきましては、利用者の安全確保、健康被害の防止、そしてカンナビノイドに対する社会的な信頼の維持・向上の観点から、以下の事項を含む実効性のある自主ガイドラインを策定し、業界全体でこれを遵守するとともに、その取り組みを社会に対して明確に示していただくことを、共同で要望いたします。
 

要望事項

  1. 製品の品質保証と成分の正確な表示義務:
      • 含有量保証: 表示されたCBN含有量と実測値との乖離がないよう、厳格な品質管理体制を導入・遵守し、定期的な第三者機関による成分分析を実施・公開すること。
      • 不純物検査: 残留溶媒、重金属、農薬、微生物等の有害な不純物が含まれていないことを確認・保証すること。
      • 全成分表示: CBN以外のカンナビノイド(THC、CBD、CBG等)やテルペン類の含有量も含め、意図的に添加された成分、及び微量でも含まれうる成分について可能な限り正確に表示すること。
  1. 利用者の安全を最優先した製品設計と注意喚起:
      • 過剰摂取を避けるため、一回あたりの摂取目安量を設定、明記すること
      • 一回あたりの摂取目安量については現在市場で流通している製品の範疇を著しく超過しないこと
      • 一回あたりの摂取目安量を超過する有効成分を常識で想定される1サービングに含有しないこと
      • 個体差が大きいことを鑑み「少量から開始し、自身の体調を観察しながら慎重に調整すること」を推奨する旨を明記すること。
      • 摂取後の運転や危険な機械の操作を控えるべきである旨を明記すること。
      • 小児、妊産婦など、摂取に特に注意が必要な対象者への明確な警告を表示し誤食のリスク低減に務めること
  1. 法律と公序良俗に沿った広告表示:
      • 薬事法ならびに景品表示法に違反する可能性のある表示を、広告宣伝、製品パッケージ、ウェブサイト等で使用しないこと。
      • 乱用薬物と誤認される広告表示を行わないこと。
  1. 責任ある流通・販売体制の確立:
      • 販売場所の限定: 青少年が集まる場所や、衝動的な購入・不適切な利用を誘発しやすい環境(例: 自動販売機、管理の行き届かない屋外イベント等)での販売を自粛すること。
      • 販売時の情報提供: 販売員が製品に関する基本的な知識(含有量、注意点等)を持ち、消費者からの質問に適切に対応できる体制を整えること。
  1. トレーサビリティの確保:
      • 原料の調達から製造、販売に至るまでのトレーサビリティを確保し、問題発生時に迅速な原因究明と製品回収が可能となる体制を構築すること。
 

結び

本要望は、CBN製品の利用者を保護し、公衆衛生上のリスクを低減するとともに、カンナビノイドに関する研究や医療応用の健全な発展を社会が受け入れる土壌を守るために不可欠なものであると考えます。事業者の皆様には、目先の利益のみならず、長期的視点に立ち、社会的責任を果たしていただくことを切に願います。私たちは、今後もカンナビノイドに関する正確な情報提供と、あるべき規制や利用環境についての議論に積極的に関与していく所存です。
 

参考文献

How Cannabinol Is Utilized in Japan, a Country with Strict Cannabis Regulations—Its Purposes, Medical Effects, Adverse Events, and Dependence | Integrative Medicine Reports
Introduction: Cannabinol (CBN) was discovered in 1896, but its commercial use did not take off until recently, and there have been few studies on its use, safety, and efficacy. Japan has strict regulations on cannabis, but CBN products have been legally distributed since late 2020. It is possible to speculate that these products are used for different purposes than in places such as some states of the United States where cannabis is legal, but no academic research has been conducted to date. Objective: To conduct a quantitative evaluation of the use, self-assessed efficacy, dependence, and adverse events of CBN products in Japan. Methods: An online questionnaire was created for CBN users, and a request for responses was disseminated via social networking service. Results: In total, 515 valid responses were obtained. Regarding the purpose of use, 174 (33.8%) were medical, 136 (26.4%) were recreational, and 199 (38.6%) were both. The most common medical purposes were sleeping disorder (N = 325), anxiety (N = 186), and depression (N = 181). Statistically significant subjective symptom improvement was observed before and after CBN use for sleeping disorder, anxiety, and chronic pain. In addition, 82.7% of users reported improved physical quality of life (QOL), 84.1% reported improved mental QOL, and 55.4% reported improved social QOL. The rate of adverse events experienced was 9.9%, and 5.2% were classified as substance use disorders. Conclusions: CBN is used in Japan primarily for self-mental-health care applications, not on a prescription basis, and contributes to improved QOL. The experience rate of adverse events was 10%, the severity was mild, and the dependence was considered milder than that of cannabis.
 

3. 本要望の発信者について

五十音順
 

4. 本要望への賛同企業/団体

五十音順
 

5. 本要望に関するお問合せ先